尾張地方に正月菜という小松菜に似た葉物野菜がある。小松菜よりも肉厚の葉には光沢があり、軽い積雪にも耐えるので、冬季に栽培される、この地方の伝統野菜である。

普段、市場などではあまり目にすることがないが、「餅菜」ともいい、名古屋の雑煮は、この菜っぱと角餅とを醤油のすまし汁で煮て、鰹節をかけただけの質素なものが主流。正月菜は、名古屋人がお雑煮に使う、そのためだけに栽培され、正月前の一時期だけ八百屋の店先に並ぶ。


秋冬野菜の種蒔き時を見極めるのは難しい。早めに蒔くと虫に食われるし、遅ければ育ちが悪くなる。だいたい9月頃に種を蒔いているが、午後には陽の陰るウチの環境では育ちが悪くて正月の収穫には間に合わず、 利用可能な大きさに育つ前にトウが立ってしまう。

毎年、今頃が収穫時なのだが、昨季は収穫のタイミングを完全に見失って花を咲かせてしまい、仕方がないので種を採った。それを今季は混ぜて蒔いたのだけど、収穫してみたら、根っこがなんか太い。どうも大根と交配したらしい。




つまり、大根と正月菜の一代雑種ということになろう。

生のまま齧ってみたが、トウ立ち後の収穫のせいもあるかもしれないけれど、大根のような瑞々しさは全く感じなかった。まさに「根っこ」という食感。甘味の中に、ほのかに大根の辛味が混じる。

食べられないことはないけど、特別、美味しく思えるものでもない。


昨季は正月菜を植える際、大根に大きなプランターを割り当てたのだが、土がもったいなかったので、正月菜をプランターの端っこの方に植え付けた。それで育った大根に正月菜が埋もれてしまって収穫時を見失ったわけだが。主体農法かよ。


大根の方も育ちが悪くて放置してたら花が咲いてしまい、しかし、大根はサヤも食べられることを覚えたのが去年の春。そして今年はアブラナ科野菜の交雑の容易っぷりを学ぶ。


大根といえば、今季は栽培方法を見なおして、土のう袋ひとつに一本だけ生やすようにしてみたら、それなりの収穫があった。



赤塚交差点で採種した野生?の大根の種も食べられる程度に太った(右から二本目)ので大根おろしにしてみたのだけれど、収穫が遅すぎたのかスが入りまくっていて、パサパサで美味しくなかった。野生の大根はとても辛いと聞くので期待していたが、然程でもなく。…野生種ではないのかもしれないな。

葉っぱの色やロゼットの形状が桜島大根に似ている気がする。




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