10月の終わりに八事の方で父の知人と会うことになったので、手土産にしようと思って、途中、覚王山の「吉芋」さんに寄って、個人的にもずっと食べてみたいと思っていた名物の芋けんぴを買ってみた。


椙山女学園近くにある店は小さくて、三人も入ると窮屈に感じてしまう。試食があったので、いくつかつまんでみたが、想像と食感が全然違っていた。固いのだ。

よくある普通の芋けんぴに比べると、半分ほどの太さしかないのに、とにかく固い。飴玉を噛み砕くより固い。食べ終わる頃には顎が痛くなってくるくらい。

これは御高齢の方には気軽に勧められないなと思って、手土産にするのは諦めて、いくつか、自分用に買っていくことにした。


店には、看板商品である、針状の芋けんぴに飴をまぶした「花火」のほかに、ポテトチップスみたいな、さつまいもを薄くスライスして揚げたもの並んでいた(こちらも見た目以上に固い)、それに花椒をまぶしたやつに、「新商品」と書いてあったので、それと、道すがらつまもうと思って、飴のかかっていない「塩花火」というのを買った。


一般に、サツマイモは、焼き芋のイメージで、甘みのある食材だと思われがちだが、 生のサツマイモはたいして甘くない。焼いたサツマイモが甘いのは、加熱することで、サツマイモの酵素が働いてデンプンが糖に変わるからだ。

吉芋の芋けんぴの、この、ガラスを喰むがごときの食感は、おそらく、高温の油で一気に加熱、短時間で水分を飛ばすことで得られるものだろうが、そのせいで、サツマイモらしい風味が損なわれているように感じた。

あまり油っぽくないのも食感にはマイナスなのではないか。

ジャガイモも旨味に乏しい食材だが、塩をまぶしただけのポテトチップスが美味しいのは、ジャガイモの細胞組織がもろく、揚げ油を良く吸い込むからだと思う。味覚の研究者の中には「油味」を第6の味覚に推すものもあるくらいだ。

「塩花火」という名前から想像できるほどには、塩味も感じない。表面がカラリとしているから、塩がからまないのよな。

足りない旨味は、化学調味料をごく少量加えたり、昆布や黒砂糖の粉末を加えることで補うことができるだろうし、塩も粉末のものを使えばいくらか絡みが良くなると思うんだけど、そういう小細工しないのが「売り」でもあるんだろうね。


花椒風味の芋けんぴはなかなか美味しかった。塩花火同様に、もう少し粉末を細かくしたほうが花椒の風味をよく感じられて良いだろうがなぁとは思った。あと、芋けんぴにはわさびなんかも合うような気がする。賞味期限が2週間くらいあるので、贈答品向きでもある。(「花火」のほうは賞味期限が3日しかない)




次は飴がけのほうと、大学芋を買おうと思う。昔はこのあたりよく通ったので記憶にあるけど、できたばかりの吉芋は「大学芋の美味しい店」だったんだよ。たしか。


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