正確な時間は不明なのだが、このスレッドのGoogleキャッシュのタイムスタンプ(2014年1月1日 07:23:03 GMT)より推測するに、1日、16時頃以降のことらしい。中国ネット上に、許帥軍が「熱気球による魚釣島への上陸が成功したことを確認した」と主張する人間が現れる。

出典:【科技】 140101新年第一天 中国人登陆钓鱼岛_那年那兔那些事儿吧_百度贴吧


どこぞの転載という体裁になっているが、拡散元はどうやらここ


热气球战士成功登陆钓鱼岛并发回无线电型号!炎黄帝国的电波正式覆盖钓鱼岛!目前无线电离地高度390米!
「魚釣島上陸に成功した熱気球戦士からコールサインを受信。炎黄帝国(※中国のことらしい)の無線網は正式に魚釣島を支配下に収めた。現在、電波は魚釣島の高度390mの地点より送信されている」と。…後に一部中国報道が未確認情報としてこれを引用するが、魚釣島最高峰(奈良原岳)362mしかねぇよと正しくツッコミ入れるのも忘れていない。

牛人啊
不过,他怎么回来呢?
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有海监50、15、26、27船和中国海监51、66船双编队目前正在钓鱼岛附。

「牛人啊(マジかよ)。でも、どうやって帰ってくるんだ?」との素朴な問いかけに、「今、魚釣島の近くには6隻の海監船がいる」と。ググってみたら、2012年9月14日、この6隻の海監船による尖閣諸島領海への侵入が報じられている。1年以上経ってるが、ずっとそこに留まってるものと思ってるんだろうか。

微博上并没有这条消息!!!!!!!!
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有电台爱好者正在发报联系,信号是从钓鱼岛上空390米传来的哦!那个路径数据是经过台湾的几个ham接收的,不是网络上传的,伪造难度很高…

「微博」の更新がないことをツッコまれて、「魚釣島の上空390mから送られてきた信号を受け取ったアマチュア無線家がいる。この航跡データは台湾のアマチュア無線網が受信したものだ。(直接)ネットにアップロードされたものではなく、偽造を疑うことは極めて難しい」と。

明显假新闻。。。微图片微博是九月更新的,小心过500啊!
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9月份发微博是凑经费,才出发的。目前已救起一人,本来上去2人,中途燃油不足,中午跳海一个,已救回,博主顺利前进。

「この画像(許帥軍が魚釣島行きを宣言した時の、微博のスクリーンショットが貼ってあったらしい)は去年9月のもので、これは明らかに嘘ニュースだ」との指摘に、「9月の記事は飛行の経費を集めるのが目的で書かれたもの」だと。これは嘘の情報ではなく「既に一人救助されている」と。「もともと熱気球には二人乗っていたが、途中燃料不足で、12時頃に一人が海に飛び込んだ。その人は既に救助されたが、許帥軍はそのまま飛行を続けた」と。


…内容の真偽はともかく、この記事はあちこちの掲示板やSNSに転載され、多くの中国ネット民の目に触れることになった。それを受けて厦門海警や中国公安部への情報提供を呼びかける者なども現れ、また問題のAPRSデータの存在もHAM愛好家以外の人間に知られるようになり、混乱に拍車をかけた。


魚釣島を目指して飛んだ熱気球は本当に存在するのか、その熱気球に乗っていたのは許帥軍だったのか別の誰かなのか、乗員は救助されたのか死んだのか行方不明のままなのか、誰も真相が分からぬまま、事故の噂だけが拡散してゆき、収拾がつかなくなっていく。

その状況に収束をもたらしたのは、翌2日、早朝2時32分配信のNHKの事故第一報だった。

あまりニュースソースを信頼してないとされる中国人だが、この報道内容に関しては、わりとあっさり事実として受け入れていたように見える。


尖閣諸島沖に中国人が乗った気球が着水 NHKニュース


沖縄県の尖閣諸島沖に中国人が乗った気球が着水し、付近で警戒に当たっていた海上保安庁の巡視船が救助しました。

乗っていた中国人は洋上で中国当局の船に引き渡されました。
海上保安庁によりますと、1日午後2時半ごろ、台湾当局から日本側に尖閣諸島の周辺海域で気球が行方不明になったと連絡があり、付近で警戒に当たっていた巡視船が捜索を開始しました。
そして午後3時前、魚釣島の南およそ22キロ沖合で着水した気球を発見し、近くで漂流していた男性1人を日本の領海内で救助しました。
命に別状はなく船で事情を聞いたところ、男性は35歳の中国人で「尖閣諸島に行こうと1人で中国を出発した」と話したということです。
このため、日本と中国の間で外交ルートなどを通じて調整した結果、男性は1日午後8時前、洋上で海上保安庁の巡視船から中国海警局の船に引き渡されました。
中国海警局の船は日頃、尖閣諸島沖の領海に侵入し、日本の巡視船が警告するなどしていますが、今回は双方が協力する形となりました。

結語であるが、この報道から「日中協力」の形跡を読み取るのは困難に思えるのだが、実はこの報道、つまり海保の発表だが、中国当局の要請あって出されることになったものではないんだろうか。







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