わたしの親戚にも、この網元がいて、一度、小説に書いてみようかと、旧家に残っていた古書類を見せてもらったが、なかに「執権」という言葉が出てきて驚いた。
読んでいくと、これは一家を司る大番頭のような立場の男のこと。
さらに、親方に息子がいても、網元の家では原則として息子に継がせず、ほとんどが娘に婿を取り、その男に継がせていたようである。
その理由は、一年を三ヶ月で稼ぐので、その他の月日、男たちは酒と女に明け暮れる。
おかげで息子のほとんどは金まみれの馬鹿になるので、他家からきた娘婿のほうが家を守るのに適していたから、とのこと。
消えた栄華 : 渡辺淳一「あとの祭り 親友はいますか」
北条執権を意識したものだとしたら面白いな。